屋久島旅② 縄文杉に会いに

2013年6月6日(木)

朝4時起床。
昨夜からの雨は強くなってる気が。
同室の方は、今日は黒味岳に登ると言って4時半ごろに出て行った。

身支度をして、荷物をパッキングできる状態にする。
前日依頼したお弁当を受け取りに行って宿に戻ると、茶の間でTV見てたおっちゃんが天気予報を教えてくれる。
今日は雨、夕方から止んで明日は晴れ。だそうな。

5時過ぎにガイドさんが迎えに来てくれる。
車に乗って最初に聞かれたのが「行きますか?」
「ハイッ」と元気よく答えてから、むしろなぜそんなことを聞かれたのかと疑問に思う。

ガイドさんいわく、今日は悪天候なので体調などに不安要素がないか確認したかったとのこと。
また、ガイドやツアーであっても車が入れないところが多いので、ちゃんと自分が歩くんだという心構えで来ないとしんどいから、とのことだった。

途中、車を降りて登山バスに乗り換える。
縄文杉へのメイン入り口となる荒川登山口は、マイカーの乗り入れが禁止なので、全員がバスを使う。
山道を揺られること40分ほどで登山口に到着。
朝ごはんのおにぎりを食べ、準備運動をして、靴紐をしっかり締めたらいよいよ森に入る。
雨は依然強く。

最初はトロッコ道。
屋久島は戦前まで林業の島だったため、切り出した杉を運ぶためのトロッコが敷かれていて、その跡が現在の登山道になっている。

ここ2週間近く雨が降り続いているそうだ。
沢も増水。上に架かる橋を渡るのも、ちょっと怖いくらい。

濃密な緑。

雨は岩肌を幾筋にも分かれて滴り落ちる。

沢の轟音が響いてくる。

水と深い緑。森に入った第一印象。

もう少し行ったら最初の休憩をとりましょう、とガイドさんが言う。
歩くペースも思ったよりゆっくりだし、
同じバスに乗ってきた中で、最後に出発したからか、全く人に会わない。
貸しきり状態だ。

雨を気にしつつも、好きなところで立ち止まっては写真を撮る。
苔の名前や、屋久島の歴史、島の暮らしをガイドさんが教えてくれる。

苔の森で立派な角を持つヤクシカに出会った。
もののけ姫の世界が、目の前に。

仁王杉。「阿形」と「吽形」がちゃんとあったそうだが、
何年か前の台風で倒れてしまい、現在は「阿形」だけが立っている。

トロッコ道が終わり、山道になる。
このあたりから雨が激しくなってくる。

2本の杉の枝がつながって手をつないだように見える。
連理現象というそうだ。

ちなみにここはドラマ「いま、会いに行きます」のDVDのジャケット写真に
使われた場所だそう。
傘をさしてるのがガイドさん。

翁杉。何年か前の台風で折れてしまったそう。
折れてなお、存在感を放つ翁杉。

巨木が倒れると、うっそうとした森の中、そこの空が開けて光が入る。
新しい植物がそこでどんどん育つ。
折れた杉の上に苔がつき、杉の新芽が芽を出し、
ナナカマドなんかも生えていた。
そのうち、翁杉の姿が見えなくなるほどに周りの植物が勢いを増すのだろうか。

この島が守っているのは、固有の名前がつく「○○杉」ではなく、
何千年と続いてきた、自然の営みそのものなんだと思った。

ウィルソン株に到着。
雨はまだ続いているが、薄日も射してきた。

中は空洞で祠がある。
しゃがんで見上げると空がハート型に切り取られる。
真っすぐと天に伸びる若い杉の木がまぶしい。

近くのベンチでお昼ご飯。
朝に続いてよく食べる。

メドゥーサと呼ばれている杉。
落雷の後に枝を伸ばしたそうだ。

ちなみにこれは正式名称ではなく、通称だそうだ。
屋久杉というのは、固有種ではなく日本全土に生えている杉と同じ種類の杉だ。
一般的には杉は樹齢500年で長寿、といわれるのだが、屋久島では樹齢が1000年以上のものを屋久杉と呼ぶ。
樹齢1000年未満のものは「小杉」、人工的に植林したものは「地杉」と呼ぶんだそう。

大王杉。
縄文杉が見つかるまでは、最大だと言われていた。

そして、登山口から歩くこと約5時間。

縄文杉。
複雑でおおらかで、柔和だけど堅牢で。

会いにきました。ありがとうございます。
心の中で話しかけた。

現在、枝が落ちる恐れがあり正面には近づけない。
離れた斜めのデッキから見ることになるが、それでも凄みを感じた。
樹齢は3000年~7200年といわれている。
遥か昔からこの島にいた長老は、島の現在をどんな想いで見ているのだろう。

縄文杉に着いたとたんに、また雨が激しくなった。
今日一番の土砂降り。
手荒い歓迎ですね、とガイドさんが笑う。

果たして、歓迎されてるのか…と苦笑した私に、
一番、屋久島らしい姿ですと返事をくれた。

そこから2時間ほど山道を歩き、新高塚小屋に到着。
今日はここに泊まる。
悪天候のおかげか人が少なく、余裕のあるスペースを使わせてもらえた。
人が多いときは一人1.5畳くらいしか使えないらしい。
さらに7,8月やGWの時期は入りきれない恐れがあるので
テントを持って行かなくては危険だそうだ。

屋久島の山中には有人の山小屋はなく、全て無人の避難小屋だ。
当然、電気も水道も通っていない。夜は各自ヘッドライトをつけて動く。
シュラフ(寝袋)やマット、食料は全て自分で持って入る。
水場だけは豊富にあるので大量の水を背負わないですむのは助かった。

それでも7時間以上歩いた脚より、
初めて45Lのザックを背負った肩と腰のほうが疲れていた。

そしてカメラ濡らしたい放題、ぶつけたい放題だったおかげで、バッテリーまでしっかり浸水。壊れなくてよかった・・・。

雨に濡れた服を干し、水場で水を補充。

ガイドさんが夜ご飯に鍋を作ってくれた。
島焼酎、三岳のお湯割りも少しだけいただきながら、いろんな話をする。
ガイドさんは屋久島出身ではなく、大分出身で「就職」で屋久島に来たというパターンだそう。
島で育った奥様と、もうすぐ6ヶ月になる息子さんがいるそう。
ちなみに私の3つ年下でした、しっかりしてるなぁ。

夕食後、雨が上がってあたりが霧に包まれたようになる。
日も暮れかけていたので急いでトイレに行き(小屋から離れてるので。ヘッドライトだけで行くトイレってちょっとコワイ)歯磨きを済ませる。

小屋に戻ると、入り口の前に鹿がいてしばらく入れなかった。
複数人で近づいたらようやく逃げた。

ネズミ対策として、絶対に食べ物はジップロック等に入れておくようにと言われる。
小屋の中に一人でもだらしない人がいると、その日の宿泊者全員がネズミの被害に遭うそうだ。

夜8時、日が落ちたので寝る支度。
こんな早い時間に寝るのはいったいいつ以来だろう。

昼間歩いた道を思い返しながら、シュラフに入った屋久島2日目の夜。