瀬戸内アート旅③ モネの描いた光

2021年3月17日(水)

ホテルの朝食を食べてから、JR山陽本線で宇野駅へ向かう。
宇野駅から少し歩くと海が見えた。
本日のスタートはここ、宇野港から。

フェリーに乗り込み20分程度で到着。

草間彌生の赤カボチャに出迎えられて、直島に到着。
直島は実は岡山県ではなく、香川県。
戦後は銅の精錬所として栄えていた島だが、1980年代ごろから文化的なエリア構想として福武書店(ベネッセ)の創始者とともに、アートの島として歩み始めたそうだ。

港からバスで島の反対側へ向かう。
この旅で最初に決めた目的地「地中美術館」。その名の通り、大半が地中にある美術館だ。
小高い丘のようなところにあるのだが、遠くから見てもその姿はわかりづらい。

エントランスを入ると、打ちっぱなしの無機質な壁面と、そこにそそぐ春の日差しのコントラストが美しい。

この光を見ているだけでも癒される。

この美術館に展示されているのは、3人の作品のみ。
クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリア
すべての作品が入れ替えなしの恒久展示だそう。
展示する作品に合わせて、美術館の建物が作られているのだ。ちなみに建築は安藤忠雄の作である。

モネの作品は「睡蓮」が5点。
この美術館の特徴はなんといっても自然光のみで鑑賞できること。見る季節や天候、時間帯で異なった表情が楽しめる。(もちろん作品には直接日が当たらないよう、設計されています)
作品を最も際立たせ、余計な情報を遮断するように作られた部屋で、モネの作品と向き合う。

重厚な絵画が評価されていた1970年代、鮮やかで幻想的なモネの絵は評価されなかったそうだ。「印象派」という名前もモネの代表作「印象・日の出」を評論家たちが「印象主義者」と批評したことからきている。
「睡蓮」は晩年、絵が評価されてからの作品だ。パリの郊外、シヴェルニーで庭づくりと創作活動に尽力しながら描かれた。
ひとつのテーマをさまざまな天候や、季節、光線のもとで描く「連作」で、「睡蓮」は300点以上の作品からなるそう。
戸外で描くことにこだわったモネの表現した「光」

背景を知って見ると、この美術館の展示方法の意味に深く納得することができる。
柔らかな春の光の中で見た「睡蓮」
この作品を真夏の鮮やかな光と蝉しぐれに包まれて見たら、どんな風に見えるのだろう。
秋の夕暮れには、冬の雨の日にはどんなことを語りかけてくるのだろう。
5点の作品をめぐりながら、とても豊潤な時間を過ごした。

ウォルター・デ・マリアの作品は彫刻「タイム/タイムレス/ノータイム」。空間全体が作品。という考え方で誂えられている。
こちらも自然光のみでの鑑賞。階段状の空間になっているので、時刻で劇的に見え方が変わっていくのだそう。

ジェームズ・タレルの作品は「光」そのもの。3作品を「鑑賞」というより「体験」することができる。印象に残ったのは「青」だった。

中は撮影できないけど、ここは実際に訪れることに意味のある美術館だと思う。
この場所に立ったその日の天気や時間、鑑賞者の気持ちや状況も相まって、唯一無二の体験を誰もがするのだろう。

100年以上前にフランスの郊外でモネがとらえようとした「光」。
2021年3月の瀬戸内海で、アラフォーの私が感じた「光」。
違うものなのに、普遍的な何かを受け取ったような気がした。