国分町は駅から少し離れたところ。
大通りから少し入ると、細い路地に飲み屋やバー、さらにはキャバクラの客引きなんかもいて、ちょっと怪しい雰囲気。
とはいえ、遅い時間でなければ女性が一人で歩いても大丈夫だそう。
そもそも今回の宮城旅行は、面白いきっかけで思い立ったのだ。
1月中旬、代々木にあるビアバー(行きつけ)に初めて見るメニューが。ジャム王子のジャム???
3種類のジャムはどれも、スパイスやフルーツの組み合わせが面白くて、特に「ノエル」というジャムは、それまでの私のジャムランキングを塗り替えた。(それまでの私的トップは鎌倉のRomiさんのキャラメルブルターニュ)
店長に聞くと、仙台在住のジャム作家salzさんという方が作っているという。東京でも買えるのかなと調べたが、個人への販売は仙台市内でしかしていない。
・・・いっそ、仙台まで買いに行っちゃう!?だったら、ジャム王子ご本人に会えるかも!??
初めての宮城だし、松島にも行きたい!!
震災の被害の大きかったところにも行ってみようか。失礼承知だけど、この目で見たい。
よし、1泊2日で弾丸ツアーだ!!!
そんなきっかけで来た宮城。
古そうなビルの2Fにあるビアバー「アンバーロンド」salzさんはジャム創作の傍ら、こちらのビアバーで働いてるそうだ。
中が見えない扉をドキドキしながら開ける。常連さんらしき方がカウンターに一人。カウンターの逆の端に座る。

一杯目は、レフ・ブロンド樽生。
日本のクラフトビールに慣れていると、味が強く濃く感じる。ゆっくり飲んでいると、徐々に落ち着いてくる。
このときカウンターの中にいたスタッフさんがsalzさんだった。
ウォータリングホール(代々木のビアバー)店長が、事前に常連さんが行くと連絡していてくれたので素性はばれているが(笑)、おかげで話が弾む。
2杯目はヴェルテンブルガー ウィンタートラウム

メルツェンですが、結構どっしり。
そして先にいた常連さんが食べてて美味しそうだったので、ソーセージ盛り合わせもいただく。

ビールとよく合う!特にチーズとハーブを練りこんだのが美味しかった。
徐々にお客さんが増えて、ほぼ満席になったころ、ここのオーナーさんがやってきた。
忙しそうだけど、合間合間に話しかけてくれる。
前日に気仙沼に行ってきたと言ったら、震災の記録の写真集があるよと2冊の本を見せてくれた。
河北新報という新聞社がある。三陸地方の家庭の八割以上がここの新聞を取っているそうだ。その新聞社の記者の目から見た震災の記録。
地元の新聞社なので、記者達もみな被災者だ。それでも取材をし、撮影をし、記事を書いた。その事実を思うだけで、なんともいえない気持ちになる。
どんな思いでカメラを向けたんだろう。
自然を前になすすべなく、濁流に飲まれていった人々。情報もライフラインも断たれた避難所。絶望、不安、怒り、悲しみや苦しみが、冷静な文章でつづられていた。
もう1冊は航空写真。震災前と震災後の海岸線を空から撮影したものが、地区ごとに見開きで並べてある。地形が変わってしまうほどの威力だったというのが実感できる。
1ページ、1ページゆっくりと見た。途中からビールを飲むのも忘れて、読んだ。
見終わって、ありがとうございましたと本を返すときに、自分が涙声なことに気づく。
余所者がここで泣いちゃいかんだろう。
また遊びにきてね、の声に見送られてバーを後にした。
もちろんジャムはしっかり購入!!
さて、宮城最後のご飯は何にしよう。やっぱり牛タンかな。
てなわけで、友人たちのお勧めも多かった利久へ。
ビールがっつり飲んでたので定食は重たい気がして、牛タンの握りと、蒼天伝。


握りはそれぞれ岩塩やゆず胡椒、大根おろし、レモンでいただく。
高いけど美味しいからまぁいいか。
今日もテールスープで締め。

酔い覚ましに駅前をゆっくり歩いて、コインロッカーの荷物を回収。
バスを待っていると、また雪が降ってきた。
新宿行き夜行バスが発車。
たった2日の旅だったけど、濃密な時間だった。出会った人たちの顔を浮かべながら、目を閉じる。
興奮が勝ってなかなか寝付けなかったけど、最初の休憩のインターの後、いつの間にか眠りに落ちた。
2013年2月11日(月・祝)
早朝の新宿駅到着。まだ地元駅への始発が動いていないので、待ちぼうけ。
走り出した電車に乗ると、地元駅に着いたあたりで日の出を迎えた。うす曇りの中、明るくなっていく街に、2日前より少ししゃんとした気持ちで戻ってきた気がする。
大量のお土産を両手に下げてよろめきつつ、思い出を反芻しては笑顔になり帰宅。
気仙沼、仙台、松島、塩竃・・・ありがとうございました。
また遊びに行きます。
お勧めを教えてくれた友人たちにも、被災地に行くことを悩んでいたときに、背中を押してくれた人にも感謝。
帰ってきたときにお帰りと迎えてくれる場所があることにも、ありがとう。
