山形旅④ 今年の桜も

山形駅まで戻る電車の中、アナウンスが流れた。
「まもなく進行方向右手に霞城公園がございます。桜が満開のため速度を落として運行いたします。ぜひご覧ください」
なんと!うれしい予定外の桜だ。
カメラを取り出す時間はなかったので、スマホ片手に空いている窓際へ。

昨日は上から眺めた桜を、今度はお堀の高さから見上げる。水面へのリフレクションも相まって、また違う景色。

駅について、お昼はどうしよう。
今回来るまで知らなかったのだが、山形って実はラーメン王国でもあるのだそう。
種類もバリエーション豊かだし、一人当たりの消費額も全国トップだとか。
それなら一回くらいはラーメン食べていこう、と思い周辺を検索。

選んだのは山之助。
暑いからつけ麺にも惹かれるけど、スタンダードな「らー麺」に味玉をトッピング。

スープは鶏白湯。
麺への絡み方といい、白髪ねぎとの相性といい、美味しい!
チャーシューも脂っぽすぎず、ムチっとした弾力があり1枚でも充分な食べ応え。
味玉は半熟タイプ。見た目の色ほど濃い味ではなく、バランスのいい1杯だった。

お腹一杯になって店を出る。
腹ごなしに商店街を歩いていると、正面に立派な建物が見えてきた。

文翔館、というらしい。
無料で見学できるそうなので、入ってみる。

ここはもともと県庁と県議会議事堂だった建物だそう。
大正5年の築だそうで、戦前ならではの重厚で意匠を凝らした造りが素敵。

階段の手すり一つ見ても、華美ではないが丁寧な仕事がうかがえる。

アーチを描く壁や、上下窓、シンプルなライトに、リノリウムの床。廊下だけ見ても、使いやすさと意匠性を感じられる。

今は映画のロケなどにも使われるそうだ。
「るろうに剣心」の撮影で使われたという部屋、壁紙が個性的。

戦後は折り上げ天井を塞ぎ、シャンデリアは撤去されていたそう。
耐震性や手狭になった等の理由で、県庁が現在の場所に移転してから建設当時の姿に復元されたのだという。

中庭。ロの字型の建物なので、外側は石造り、中庭側はレンガ造りに見える。
面白い造りだなぁ。

渡り廊下の反対側にはホールもあった。
今もイベントやコンサートなどに使われている。

渡り廊下、復元だけどとても素敵だなと思えるデザイン。

普段、都庁に行ってもデザインを見て素敵だなとは思えない。
もちろんバリアフリーや多言語での案内、執務上の動線など昔以上に多くのことに考慮しなくてはいけないという事情はあると思うし、何より極力シンプルで機能優先のデザインでないと世論が許さないという部分もあるのだろう。

公共の伝統的な建物を受け継いでいくには、国自体に余裕がないと難しいんだろうな。
寂しいけど、高額納税をしているわけでもない身としては致し方ない。酒税だけはかなり払っている自信があるのだけど。
ちょっぴり切なくなりながら、文翔館を後にした。

山形駅に戻り、お土産を買い込んだら、新幹線の時間まで1軒行きましょう。

駅ナカの居酒屋「澤政宗」で、飲み比べセットとだし乗せ冷奴。
のんびりぐい吞みを傾けながら、2日間取った写真を見返してみる。
たくさんの桜、美味しいもの、景色、建物、出会った人。映栄えないけど、大切な思い出。
時が経ってどんなふうに憶えているのだろう。「あれはコロナ禍が明けた春のことだった・・」みたいに思い出すのかな。

本当は〆におにぎりかお茶漬けを食べようと思っていたのだが、なんとお米が完売とのこと。
仕方ない、もう一杯飲もう!?
合わせたのは「春の炊き合わせ」。蕗、筍、菜花、海老しんじょの湯葉巻、春の味覚を凝縮したような一皿。

今年の桜旅の締めくくりに相応しいではないか。
ほろ酔いになって、新幹線のホームへ向かう。
夕方の新幹線の車窓から最後の桜を眺めて、2024年の桜も素晴らしかった。
桜よまた来年。ひっそりとつぶやいて、新緑の東京へ。