岐阜旅③ 世界遺産集落 白川郷

高山駅からバスに乗る。
いくつものトンネルを抜けていく、長いトンネルは11キロもあり高い山に囲まれた場所だということを実感する。
1時間ほどで白川郷の入口「荻町」に到着。

まずは村が見渡せる展望台へ。
歩いても登れる距離だが、この日は全国的に35℃越えの猛暑日。
無理せず展望台行きのバスに乗って5分程度。

初夏の青々とした山に囲まれた、小さな集落。
鮮やかな水田の緑の中、点在する茅葺の建物が美しい。

茅葺屋根の建物は大体同じ方角を向いて建てられている。
冬になると豪雪地帯となるここでは、屋根の雪が均等に溶けるよう窓が南北方向に向くようになっているそうだ。

展望台からの景色をしばし楽しんで、下りは歩いてみた。
木陰ではあるが結構な急勾配だった。

下ってきたら白川郷の合掌造りの中でも最大級の「和田家」へ。
世界遺産とはいえ、実際に住まわれている住宅も多いが、
いくつかの建物は一部を公開しているので、見学させてもらえる。


和田家は江戸時代中期に建てられた合掌造り住宅。庄屋だったそうでとても大きい。
非公開部分は今でも実際に住まわれているそうだ。

1階は客間や囲炉裏、2階は広い空間で昔は養蚕に使われていた場所だそう。
今の2階は、昔使われていた道具類が展示されている。
黒く光る床や柱は、囲炉裏の煙に燻され続けてきたからか。

南北に開けられた窓からは思ったより風が通る。
暗い室内から窓の外に目をやると、眩いほどの緑。

見上げれば、屋根裏の構造がよくわかる。

続いては「長瀬家」を見学。こちらも大きな住宅で、なんと5階建て!
加賀前田藩の藩医だった家柄だそう。

こちらは平成13年に屋根の葺き替えが行われたそうで、その時の様子を収めた映像を放映していた。
葺き替えは片面で約12,000束もの茅を使い、村総出でさらには全国からボランティアも集まり総勢500人で行われたそう。

白川郷の合掌造り住宅の存続は、「結」に支えられているそうだ。
「結」というのは村人同士の労働力の貸し借りで、田植えや稲刈り、養蚕なども「結」による共同作業で行われてきたそう。
その中でも最も大規模な行事が大屋根の葺き替えだそうだ。

軒下から見上げると、茅の分厚さに驚く。

こちらも上の階には昔の生活用品や、養蚕に使われた道具類、農作業道具が展示されていた。

2軒、じっくりと見学したらお腹がすいたのでお昼ご飯にすることにした。

手打ちそば処「乃むら」にて。
人気店のようで少し並んだ。

おろしそば。
お蕎麦自体とても香りがよく、美味しかった。

次は集落の奥の方へ。

白川八幡神社にお参りを。
こちらはアニメ「ひぐらしのなく頃に」の舞台のモデルになったそうで、
聖地巡礼で訪れたであろうファンの方々の絵馬がイラスト満載。

この日は、こんな奥まったところまで来る観光客はあまりいないようで、すれ違ったのは数人だけ。
蝉時雨がひたすら降り注ぐ境内にいると、タイムスリップしたような気分になる。

次は、庄川に架かるであい橋を渡って、「合掌造り民家園」へ。
昭和30年ごろ合掌造りの民家が、改築や離村により失われていった時期があり、
村が建築物・文化の保存のために開業したそうだ。

現在は人が住んでいない建物。萩町以外の地区から移築されてきた建物が多い。

馬狩地区にあった神社だそう、本堂も茅葺屋根だったんだ。

さっきまでいた荻町地区と比べると全然人がいない。
そして家というのは人が住まなくなるとどうしても劣化するんだなと実感。
家主がいない建物は、なんだか寂しい。

民家園をのんびりと回ってから、再度であい橋を渡る。

カフェで少し休憩。
村には茅葺ではない建物も多いが、景観に調和した外観になっている。

冷やしぜんざい、抹茶アイス。
暑い中歩きまわっていたので、甘さと冷たさが沁みる。

ここではタモリ倶楽部の白川郷の回を放映していた。
日本の里山の原風景と言われる美しい景色に隠れがちだが、
富山県の五箇山同様に、焔硝(火薬の原料)の生産で富を築いた側面もあるそうだ。

近隣の村から離れて、集落につながる道も少なく、冬には豪雪に閉ざされる。
陸の孤島のような立地だからこそ、軍事機密の集落となりえたのだろう。

カフェで体力回復したところで、バスの時間まであと少し。
メインの通りを一番奥まで行ってみることにした。
八幡神社を超えてさらに10分ほど、観光客がほとんどいないようなところへ。

3つ並んだ茅葺屋根を写真に収めて、散策を終了。
バス乗り場へと向かう。

予定通りに高山行のバスに乗車。
白川郷を後にした。


TVやInstagramで見て、ただただ素敵だなと思っていた景色。
実際に来てみたら、もちろん美しい場所だった。

村にめぐらされた水路を流れる水の音、照り付ける日差しの日でも涼やかな黒光りする合掌造り住宅の2階。その場に来て初めて感じられることもある。

世界遺産となったこの景色を保つため、「結」の制度はどこまで機能できるのだろう。
これだけの建物を残してこれた理由の一つだった焔硝生産。
歴史を知って見ると、同じ景色も違って見える気がした。

体感する、考える、思いを馳せる。
やっぱり旅が好きだ。

何度も思ったことを、また強く思った。