2013年6月9日(日)
旅も最終日。
10時45分の高速船で屋久島を発ち、鹿児島でお昼に黒豚、おやつには本家シロクマを食べて夜の飛行機で東京に帰る・・・はずの予定だった。
起きると大雨。
同室の方は「しゃくなげ登山、いけるかなぁ・・・」と言いながらも早朝に出て行った。
コーヒーを淹れて居間にいると、昨日共に飲んだ面々が起きてくる。
「今日、白谷雲水渓の予定だったけど無理だなぁ」
「縄文杉はガイドさんに相談してあさってに変更したよ」

沖で台風が発生していたのだ。
屋久島は沢が多いので、大雨になると徒渓点が渡れないため、行けなくなるコースも多い。まして注意報や警報が出ると、基本的に山は全て立ち入り禁止になる。
この日の屋久島。
大雨洪水警報、雷強風波浪注意報・・・。
そして朝イチの高速船が欠航決定した。
飛行機も滑走路視界不良のため欠航している。
・・・帰れるのか!?
高速船は欠航なら1時間前にアナウンスがある。(町内放送がある)
山に入ることを諦めた滞在組みは、レンタカー借りて、ドライブに行った。
居間でTVを見たり本を読んだりしながら、過ごしていると町内放送が。
高速船欠航決定ーーー!!
この時点で午後の便がもし動いたら振り替えできるよう、港まで手続きに行く。
また、条件付きで鹿児島から向かっているフェリーがいるので、着岸すれば折り返し便も出るだろうと聞き、念のためそちらも押さえる。
遅い時間で飛行機に間に合わなくても、今日中に鹿児島本土へ渡れたら、翌朝の始発便の飛行機に乗って、羽田からそのまま出勤すれば間に合う。
海も空もだめな場合に備えて、宿に空きがあることも確認する。
仕事は、なんとかなるさ。なんとかする!
・・・なんか楽しくなってきた!!!
外は相変わらずの暴風雨。
一応チェックアウトをして、居間に荷物を置かしてもらう。
パートで働いているというおばちゃんがやってきて、掃除や洗濯を始めた。
やることないので、手伝ってみる。
お昼前、11時台の高速船も欠航の放送。
宿のおっちゃんがスーパーに行くのについていく。
パートのおばちゃから頼まれたお弁当や、日用品を買う。
自分のお昼も買う。
宿に戻って、おっちゃん、おばちゃんと一緒にのど自慢を見ながらお弁当を食べる。なかなかできない経験だwww
13時過ぎ、ボォーーーーンと低い音が港のほうから鳴り響く。
フェリーが着岸できた証の汽笛だった。
おっちゃんに港まで送ってもらう。
高速船の払い戻し手続きをし、フェリーに乗り込む。
朝から欠航してる船と飛行機に乗る予定だった人たちが詰め掛けていて、このときが屋久島で見た一番人の多い光景だった。
二等客船の一番揺れなさそうな客室は団体ツアー客に押さえられていたので、船首寄りの客室の一角へ。
甲板に出てみる。

大荒れの天気の中、船を出してくれる人たちがいる。
最後に見た姿も雨と霧に包まれた島だった。

ゆっくりとフェリーが岸を離れる。
防波堤から何人かの人たちが手を振ってくれた。
応えて大きく両手を振る。
あこがれ続けていた島は、必ずまた来ようと決めた島に変わった。
あっという間に雲と霧で島の輪郭がぼやける。
フェリーのスタッフから今日は危ないから甲板に出るのは禁止!と怒られる。
・・・聞いてないよ?
客室に戻る。順調にいって4時間、今日は荒れてるからたぶんもう少しかかるだろう。

予想外の長旅を楽しむ準備はできている。
しかし、想像以上に揺れる。
まっすぐ歩けないどころか、座っている椅子が横すべるようにに動くほどだ。
グロッキーな人続出の船内。
酒は危険と判断して、水とスポーツドリンク、山に入るときに持っていた塩飴で過ごす。これが正解だったのか、少々船酔いしたが、そんなに気持ち悪くはならずに済んだ。
時々ウトウトするものの、2階の窓に当たる波の衝撃で起こされる。
窓から外をみても全くなにも見えない。
本当に進んでる?と疑いたくなるくらいだった。
宮之浦港から5時間強、鹿児島港に到着。
タラップを降りてもまだ揺れているような気もするが、休んではいられない。
路線バスに乗り、天文館で空港行きのバスに乗り継ぐ。
黒豚もシロクマも次来れるまでお預けだ(泣)
19時半過ぎに空港に到着。飛行機は20時20分発。
なんか夕飯と思うものの、お弁当やパンはみんな売り切れ。
とは言え、レストランに入る時間はない。
諦めて、手荷物を預け、ゲートをくぐる。
飛行機は満席で、3列シートの真ん中、しかも非常脱出扉の横という場所。
飛行機も台風の影響か出航が遅れる、そして揺れる揺れる。
23時頃に羽田到着!無事に帰って来れました、ただいま東京!!
すごい!明るい!夜中なのに人いっぱい!!!
わけの分からないテンションで電車を乗り継ぎ帰宅。同時に電池切れ。
お腹減ったー、でももう動けません・・・。
荷解きもソコソコに寝落ち。
最後の最後でハプニングの旅だったけど、全部が思い出。
屋久島で過ごしたのは、濃密で夢のような時間。
大自然の中で、「人は所詮ひとりで生まれてひとりで死んでいく」というのはすごく前向きで清清しいことなんだ、と感じたり。
「一期一会」って言葉が、頭ではなくココロの奥の深い場所にストンと落ちるように理解できたり。
私のつたない文章では表現しきれない、たくさんの感情や思考をめぐらせた旅だった。
帰ってきたそばからまた行きたくなって、すっかりヤク中(屋久島中毒)だ。

しずくギャラリーで見つけた絵葉書。
折れて朽ちゆく翁杉と、再生する森。
